2010年04月05日
Mac mini分解・メモリ増設(Early2009)+仁作
いままで、どこのメーカーも為し得なかったスタイルのPCを、Appleはまたしても世に送り出し、世間を驚かせました。その布石はMac Cubeからすでに合ったのですが、まさか驚くような低価格で、こんな”重箱”いや”玉手箱”のようなPCなど誰が考えつくでしょうか。
もっともその中身の設計は、日々小型化するノートPCの技術を流用し、高価な液晶モニターとキーボードを端折れば、まあ”夢”の技術ではまるで無いのですが、それを言ったらおしまいヨ。
この芸術的とも言えるPCの筐体は、やはり特殊でして、閉鎖的な設計はAppleの負の面でもあるし、良さでもあるのですが、しかし、ブラックボックスというか、はたまた”パンドラの箱”とでも言いましょうか、この拒絶っぷりといったら、もはや右に出る物はいないような、この愛らしいMac miniの分解を試みようと思い、ここにそのレポートを紹介いたします。
何の為の「分解」か、それは言わずも無い「メモリ増設」です。あとはHDDの交換という方もいらっしゃるでしょう。
さて、AppleのPCは毎年頻繁にマイナーチェンジを行っていますが、筐体そのもののモデルチェンジはかなり長いです。まあ、それなりにデザインと素材にこだわり、かなりコストが掛かっているので、車で言うと国産車のそれに対するドイツ車のようなデザインサイクルです。ちなみにAppleは米国ですが。
で、何が言いたいかと言うと、形は同じなれど、中身は年式によって様々なのです。使われているユニットも進化していますし、なにより側は同じでも、中身の設計思想はまるで別物だったりしますので、Macをいじるには、そのモデル形式をまず知る必要があります。
ちなみに「Mac miniの識別方法」はこちら。
今回、分解を実施する私のMac miniは「MB464J/A」といい、別名「Early 2009」という分類に属するモデルです。最後のOS10.5搭載モデルです。同じ「Early 2009」では下位グレードの「MB463J/A」gがあります。
さて、ひっくり返します。どこにもビスの類は見あたりませんね。ここで多くの方は驚愕し、渋々専門店へ持ち込む事になります。私もその寸前でした。あらためて、この拒絶っぷりはもう、拡張・増設をはなから無視しています。
これを「解体」するには、なんと「工具」では無く「刃物」がいるのです。俗に言う「ヘラ」というか「スクレーパー」という左官屋さんなどが良く使うあの類の道具です。ここは、まるでAppleらしくありませんね。想像どころか、イメージも結び付きません。
いきなり結論から言えば、「ヘラ」なるスクレーパーをこのようにぶっ刺して、本体をこじ開けるのです。驚きですね。
ここで怯んだ方は、専門店に持ち込みましょう。
ここから先は全て自己責任でお願いします。
裏返したら、本体が傷つかないように、下に柔らかい布などを敷いてください。さらに、裏面の筐体のキズ防止の為にテープで養生を行います。これは人それぞれです。「刃物」をぶっ刺すので、間違えれば、まるで意味がありません。作業はあくまで慎重に・・・・。
さて、ここで登場するのが「専門工具」ってやつです。過去に人柱になられた方々はホームセンターなどであれこれ、使えそうな工具を物色してこられましたが、何とこんな道具を製造されているメーカーがちゃんとあったのですね。
「仁作」というブランドの株式会社富田刃物は産業用スクレーパ−を50年に渡り製造している専業メーカーです。この会社が何と「mac mini専用分解工具」別名「Mac miniオープナー」なるものを開発・販売しているのです。刃物専門メーカーならではの配慮と設計。Mac miniの裏蓋の隙間に合わせた0.4mmの先端の厚みと、キズをつけないための鏡面研きに、微妙な曲面仕上げでのレーザーカット。
かなりコストが掛かっているため、直売のみです。クレジットカード払い定で、かつ定形外郵便発送で1,040円で販売しています。(本体は900円)
一部ネット店(楽天やYAHOOオクを含む)では、この2倍から3倍の価格で販売しているショップもありますが、これはもうメーカー直で購入するのがベストです。
ちなみに、富田刃物によるMac mini開封作業のサンプル動画はこちらです。
さて、寸分の隙間もないMac miniの筐体のつなぎ目に、この「刃物」を端からゆっくりと差し込んで行きます。「刺し込んで・・・」の表現の方が良いかも知れません。ゆっくりと、スクレーパーの角で刺し、ゆっくりと刃全体を沈めていきます。信じられませんが、スーッと入っていきます。さすが専用設計ですね。職人の技です。(刃物ね)
ヘラが入る量は結構浅いです。1cmくらいかな。
で、一気に外側に倒します。刃先は計算された設計の為、適度にしなり、本体を分離、持ち上げます。
カポッと片側が浮かびあがります。反対側も持ち上げる前に、カードなどお手元にあるなにか薄い物でストッパーを。
反対側も同じ要領で。というより、片側が持ち上がっているので、より一層隙間が無くなっていますが、ここは「刃物」ですから敵ではありません。3方向から同じ作業を行うと、全体がすっかりと持ち上がります。
こんなツメではまっているだけなのですね。構造を知れば怖さ半減ですね。でもビビリますが。
ゆっくりと、裏ぶたを持ち上げると、パンパカカーン!!内部ユニットの登場です。もうここまで来れば80%終わりです。
ココから第2ラウンドです。メモリーにアクセスするには、内部ユニットをさらに解体しなくてはいけません。解体といっても上下2つから構成されているだけなのですけとネ。
それらは、「赤丸」の4つのビスで止められています。
アンテナが3つあります。AirMacにBluetoothですね。あと一つはなんでしょう。
一番大きな五角形のアンテナがAirMacです。
これは必ず外さなくてはいけません。
2本のツメをリリースして簡単に外れます。
ほかの2つは、上に引き上げると外れるようですが、今回はなかなか外れなかったので、そのままにしました。特に外す必要はありません。(回線と基盤の接続に注意を払えば・・・)
で、4カ所のビスを外していきます。精密ドライバーが必要ですが、ビスの脱着誘導にはマグネット付きのドライバーかマグネタイザー(マグネット無しのドライバーに磁気を生わせる不思議な工具)があると便利です。
上下ユニット(マザーボードとスーパードライブ?)を繋ぐケーブルです。これは知らず知らずの内に外れますが、かならず最後に接続してください。忘れない為にも、最初自分で外しておきましょう。
AirMacにBluetoothのアンテナのケーブルは、ここに集まっています。簡単に外れますが、取り付けるのはすこぶる面倒なので、なるべく外さないように、上下ユニットを慎重に適切な位置へと展開しましょう。
ちなみに、アンテナ基盤の上に見えるスロットが、上下ユニットを繋ぐ大動脈です。元に戻す際にはこれに注意を払って慎重にはめ込んで行きます。
上下ユニットを分解すると、メモリはすぐに露出しています。スロットは上下2つ。ノートPC(ここではMacBook)と同じ構造です。左右の留め具を内側から押し広げると、ピンッと跳ね上がります。静電気には十分注意して作業してくださいね。ACコンセントなどを握ると静電気が除去されるそうです。
元からあったメモリを取り外し、新しいメモリを挿入します。
斜めにグイッと差し込みます。奥まで全部ささったら、上から押さえ、パッチンとはまったらOKです。2枚とも同じです。最後にしっかりと固定されているかチェック。ここでも静電気に注意しましょう。
お疲れ様でした・・・・。ここで気を抜いてはいけません。上蓋の装着も慎重に行いましょう。はみ出たケーブルにも要注意です。
さあ、お役に立てましたでしょうか?
2010年11月からMac関連のネタは新ブログ「ポチッと快適Mac生活!」に移転します。
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